教育環境の整備

在宅医療は、地域社会資源を基盤においた多職種が連携するチーム医療であります
チーム医療の質を上げるための条件は…

  1. 良質な連携システムの構築(ICT:Information and Communicationを利用して、連携のコストを安くする)
  2. 各参加メンバー(参加施設)のクオリティを上げる(教育環境の整備)

以上の2点が重要であり、これまでICTをフル活用して、良質な地域医療システムの構築と、教育環境の整備に努力してきました。

教育環境の整備 (医療法人ナカノ会)

ナカノ在宅医療クリニック開設時の理念と目標の一つに「法人内外の勉強会の励行」を掲げており、法人内スタッフの連携や資質のレベルアップを目指しています。

スタッフミーティング(毎日、午前8時30分~9時)

法人内では、月~土曜日の朝8時30分~9に行っているスタッフミーティングがまず第一の討論、勉強の場であります。

ミーティング開始時に前日の患者の情報などを共有するため、スタッフ全員が法人内メーリングリスト(以下法人内ML)で情報交換し、朝、必ず法人内MLに目を通して出勤してきます。ミーティングでは、医師、看護師、事務のすべてのスタッフが対等であり、互いに見直すべきところを指摘し合い、改善点を検討する毎日です。

スタッフミーティングの様子[スタッフミーティングの様子]
毎朝開催するスタッフミーティングは、法人内スタッフ(医師、看護師、事務)の全員が一堂に会する勉強の場です。ミーティング開始前に、法人内MLですでに情報共有しているので、本格的なディスカッションが可能となります。


服薬カンファレンス(4週間に1回)

スタッフミーティングの時間を利用して、4週間に1回、連携薬局5施設の(訪問)薬剤師を交えての服薬カンファレンスを開催しています。

服薬カンファレンスの様子[服薬カンファレンスの様子]
訪問薬剤師を交えての服薬カンファレンスは、開業当初から、継続して行っています。薬剤師は、在宅ケアチームの重要なメンバーです。

医科・歯科合同カンファレンス(2ヶ月に1回)

2ヶ月に1回の間隔で、大阪大学歯科学部の野原幹司助教を太田歯科医院(太田博見院長)に迎え、ナカノ在宅医療クリニックと合同で、「摂食嚥下合同診療・合同カンファレンス」(NNO:野原、中野、太田の略)を開催しています。

医科・歯科合同カンファレンスの様子[医科・歯科合同カンファレンスの様子]
歯科との連携も、摂食嚥下、口腔ケアなどの領域で、非常に重要な分野です。

退院前カンファレンス

退院前カンファレンスは退院患者が帰ったその日からすぐに生活のできる環境を準備するのに必須の会議です。

また同時に、キュア志向の病院スタッフに、ケア志向の在宅医療を教育、啓蒙する絶好の機会でもあります。退院前カンファレンスは、診療所スタッフが紹介先の病院に直接いきます。ナカノ在宅医療クリニックでは、開業以来、新規退院患者のほぼ全例に、退院前カンファレンスを実践してきました。

退院前カンファレンスの様子[退院前カンファレンスの様子]
退院前カンファレンスは、病院医療スタッフへの在宅医療に対する教育のための、絶好の機会です。

ケアカンファレンス

チーム医療や地域のチームケアにとって、あるいは在宅療養を行おうとする患者と家族にとって、非常に重要な場です。

ただ、コスト・パフォーマンスがよくないために、開催回数は多くできないのが他施設の現状のようです。当法人では、患者の退院時、または容態変化時に合わせ、積極的にケアマネジャーに働きかけて、必要時に頻回にケアカンファレンスを開催しています。

当法人でケアカンファレンスを頻回に開催するのは、その教育効果を考えるからであります。このケアカンファレンスを、法人内外の教育活動の一環と考えれば、投資する価値は十分にあります。

2008年度の診療報酬改定では、ケアカンファレンスや退院前カンファレンスなどの連携に関する診療報酬が評価されました。必要な仕事を創っていけば、お金は後からついてきます。これは、医療法人ナカノ会の経営哲学でもあります。

ケアカンファレンスの様子[ケアカンファレンスの様子]
患者宅で、在宅ケアチーム一同が会合するケアカンファレンスは、多職種連携のチーム医療を実践するために非常に重要な場であります。


在宅医療関係の教育機関(研究研修施設)を目指します

非公式にではありますが、これまでに、医師(研修医、勤務医、開業医)、看護師、ケアマネジャー、医学生、看護学生、教育などの研修を受け入れ、研修者は年間100名を超えています。

また、2008年3月から、中野は鹿児島大学医学部の臨床教授に就任し、医療法人ナカノ会は鹿児島大学医学部6年生の学生実習施設となり、医学生に在宅医療や訪問看護を教育しています。さらに2009年11月には、日本在宅医学会の認定専門医研修施設となり、後期研修の受け入れも可能になっています。

今後、いっそう教育環境を整備し、在宅主治医(かかりつけ医)、訪問看護師、ケアマネジャーの育成・研修施設として、在宅医療関係の教育機関(研究研修施設)として進化、機能することを目指しています。