[2011.1.31 見学] 柴田 直子 氏 感想文

            新須磨リハビリテーション病院 柴田直子

先日は、お忙しい中、訪問診療にご同行させて頂き、本当にありがとうございました。

以前、訪問業務に携わっていた頃は、まだ経験年数が乏しかったこともあり、「本当に自分の関わり方でよいのだろうか」、「何か大事なサインを見過ごしたりしてはいないだろうか」、という不安をつねに抱えていました。それは、同じ職場のスタッフや対象者に関わる他職種に相談したり、勉強会に参加してはいても、なかなか拭いきれないものでした。

今回、見学させて頂いて、朝の合同カンファレンスやパソコン・携帯電話などの活用によるICTなど、コミュニケーション流量と広がりに感心したことはもちろんですが、すべての情報がオープンであることが、一人一人の役割と責任を明確にすると同時に、自分以外の多くのスタッフの知識や経験も共有しやすくするのだと肌で感じて、非常に心強いものに感じました。

それは、太く大きな地下水脈のようでもあり、最近よく耳にする「クラウド」のようでもあり、生きたシステムとして当たり前のようにありながら、それを大所帯になっても続けていくことの難しさを思う時、ふだんから中野先生がその理念を明確に発信し続けていることがそれを可能にもしているのだろうと思いました。

また、利用者さんやそのご家族の方々が、みな自律的であったことがとても印象的でした。病院は、どうしても管理する―される関係になりがちで、「患者」という役割の中で利用者さんは受動的になりがちです。

幾人もの利用者さんやそのご家族が、「中野先生になら」とありのままのお気持ちを語られ、また中野先生も、利用者や家族の責任と権利について飾らない言葉で説明され、一方的ではない、双方向のコミュニケーションが信頼関係の土台の上に行き交っている様子は、それぞれが「治療者―患者」という役割の枠の中に留まりがちな病院とは異なる、在宅ならではの関係性のあり方を改めて実感しました。

いずれも、ふだんからスタッフ、利用者さんと、それぞれの立場に立ちながらも対等であろうとする中野先生の考えと、それが行き渡っているナカノ会とその利用者さまの輪が、これからの在宅医療の一つの形を示しているようで、とても参考になりました。

現在の職場でも形は違っても活かせることも多く、新たな学びを頂いたことに改めて感謝致します。

 どうもありがとうございました。