[2010.10.22 見学] 中尾 瑞穂 氏 感想文

 先日は在宅医療における診療を見学させていただき誠にありがとうございました。
 私は今までに在宅医療の診療を見たことは無く、恥ずかしながらどのようなことを行うなどもほとんど知りませんでした。そして、今回の診療見学は在宅医療の知識が無い私にとってはすべてが新鮮で衝撃的でした。特に私の印象に残ったのは、カンファランスに始まり、訪問先でパソコンに診療結果を入力し電子メールを送信し患者情報をスタッフで共有し、カンファランスで終わるという一貫した一連の流れによるチーム医療が行われているということでした。
 カンファランスでは全スタッフが意見し合い、患者さんの症状を共有し合い、今後のケアの方針を決めていました。患者一人一人に合ったケアを行うために全スタッフが患者さんのことを一番に考えているのだなと感じました。実際に患者さんのお宅を訪問したときに、患者さんはみなさんよい表情をされていて、とても残り短い人生を過ごしている患者さんには見えませんでした。
 これがキュアだけでは解決できないケアの力なのだということを今回の見学で教わりました。また、ケアにおいては、患者主体であること、患者さんが安心して家にいられるようにしてあげること、患者さんの苦痛をとってあげること、治療を行う場合は最低限に抑えること、最終的に看取ってあげることなどが大切であるということを中野先生が患者さんと接する姿を見て感じました。
 これから日本は高齢化社会がますます進み、キュアでは対応できない患者さんが増えていくという免れられない事実があります。そこで病気とどのように向き合い、どのように生きていくかが重要であるということを在宅医療を通して学ぶことができました。また、私自身もキュアにだけとらわれるのでは無く、高齢化社会と向き合うには高齢者の病気は障害として捉えるなど柔軟な考え方を持つ必要があると感じました。私は将来薬剤師になりたいと考えていますが、薬剤師の枠にとらわれずこれからは薬のことはもちろん介護のことや尊厳死のことなどについて勉強してケアの一員として活躍できるようになりたいと思いました。
 今回在宅医療の診療に同行し患者さんと触れ合い、改めて死とは何か、生とは何か、治療とは何か、自分にできることは何かを考えるきっかけとなりました。まだ、答えはでていませんが医療人として今回の経験を将来活かせていけたらよいなと考えています。本当に貴重な経験をさせていただきありがとうございました。


                                            長崎国際大学薬学部実務実習生
                                                         中尾 瑞穂