[2010.08.23 見学] 林 經堯 氏 感想文

カノ在宅医療クリニックを見学して

私はこの10月に広島にて在宅訪問診療専門のクリニックを開業することになりました。このため、2010.08.23242日間、兼ねてよりCNKMLを通じていろいろ勉強させていただいている医療法人ナカノ会理事長 中野一司先生のご好意により、鹿児島にあるナカノ在宅医療クリニックの見学をさせていただく機会を持つことが出来たのです。

一日の始まりは朝のカンファレンスからが一般的ですが、ナカノ在宅医療クリニックではカンファの前に、すでにスタッフ全員がメールなどを通じて前日の診療結果と当日の予定診療看護などの情報を把握しているのです。これにより1日2列で約20~25人の定期往診患者、新患、訪問看護の報告を含めて、約10~15分で終了することができるのでした。これだけ効率の良いミーティングができるのはICTの理念のもとに、情報ネットワークをフル活用し、患者情報を常にすべてのスタッフが共有していて、新しい情報の更新が周知されているからだと感じました。

見学が進むにつれ、長年の疑問・難問を一瞬にして吹き飛んでしまう組織システムが目の前に広がっていました。医療のケアへのパラダイムチェンジを謳い、見事な運営システムを作り上げた中野一司先生。地域医療に情熱を注ぐ松尾敏明先生。ナイチンゲールの心で優しく患者さんを包み、ケアに当たる看護スタッフ。医療・看護職がその専門分野に専念できるように、プロフェッショナルに診療・看護業務を支える事務方を有する医療法人ナカノ会はなんと素晴らしい有機体だろうと思いました。

この見事な連携を可能にしたのは、中野先生がご提唱した、ICTそのものの概念と運用です。実際、その運用を目の当たりにし、ただならぬ感銘を受けました。情報の共有はもちろん、往診の車中の移動時間を無駄なく使い、いつでもどこでもスタッフの誰もが患者さんの情報を入手し、最適の医療・看護・介護サポートを提供できるようになっています。まさしく、百聞は一見に如かず!日本の医療はこれで変わると確信しました。

このような貴重な機会を下さった中野先生にこころより感謝を申し上げたいと思います。これからスタートを切る私のクリニックも医療法人ナカノ会の組織づくりを目指してこのような素晴らしいシステムに一歩でも近づけるように頑張っていきますので、これからもご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。

中野先生、松尾先生及びスタッフの皆様、この度、ご多忙の中、見学させていただき、本当にありがとうございました。

在宅療養支援診療所 りんりんクリニック 林 經堯