[2010.03.17-18 見学] 水野 恭伸 氏 感想文

ナカノ在宅医療クリニックを見学して
長崎薬学・看護学連合コンソーシアム 水野恭伸

 私は、文部科学省の戦略GPの取組として採択され本年度から新規に事業展開し始めた「在宅医療に重点化した薬剤師と看護師の統合教育(http://www.nagasaki-pnc.jp/)」を担当しております。長崎大学・長崎県立大学・長崎国際大学の3大学にあります薬学、看護学、介護福祉学、栄養学の6学科でコンソーシアムを形成して進めております。戦略GPの事業内容としては現役薬剤師と看護師向けにセミナーやシンポジウムを行い在宅医療についての教育を行っています。また3月23日には大学1・2年生の薬学、看護学、介護・福祉学、栄養学の学生を対象に、学部横断の4人編成で訪問看護師や薬剤師とともに在宅医療の現場を見学しました。翌24日はグループワークによって全員の学びを共有することができ、素晴らしい報告会になりました。

 今後の企画・立案に役立てるために平成22年3月17日、18日と1日半、ナカノ在宅医療クリニックを見学させていただきました。

 私自身、保険薬局の薬剤師を兼務しておりますので、在宅医療と薬局・薬剤師のかかわりを中心に勉強したいと思い、4週間ごとに行われる「薬局ミーティング」にあわせてスケジュールを組ませていただきました。

 ナカノ在宅医療クリニックには1日半の滞在でしたが、朝のスタッフミーティング2回、服薬カンファレンス、訪問看護師(冨貴田さん)と2件の訪問に同行、中野先生と訪問看護師(上村さん)の10件の訪問診療に同行と密度の濃い内容でした。特に驚いたのは訪問診療で、お昼までの短い時間に10件の訪問をこなし、家族の相談に親身になって答え、薬の不安を解消し、その場で処方せんを出し、移動中の車の中でカルテのPC入力をすませ、クリニックに戻ったときには全ての仕事が終了していた点でした。ICTと携帯電話を駆使した在宅医療システムを構築・実践しておられて、訪問看護ステーション、事務員さんを含めたスタッフ全員での情報共有、役割分担が行き届いた完璧な「チーム医療」をしっかり見せていただきました。

 「ケア」の考え方もよくわかりました。これまで薬剤師として疑問に思っていた数々、大量の薬剤投与、安定剤・睡眠剤の多剤投与による体調変化、麻薬製剤の積極使用によるQOL改善、降圧剤の慢性投与(高血圧に対する過剰な対応)など、ケアの認識を持つことで解消されることがたくさんありました。薬剤師から処方医へのフィードバックができるか不安は残りますが、モヤモヤしていたところはかなりすっきりしました。

 中野先生には鹿児島中央駅まで送っていただき、最後までお世話になりっぱなしでした。車中では医療崩壊、政権交代、マスコミ問題などの話題で盛り上がりました。中野先生が本気で「在宅医療が日本を変える」ことを実践されていることがわかりました。

 今回ナカノ在宅医療クリニックを見学して得たことは今後、大学のGP事業にも活かしていきたいと思いますが、夫婦で経営している保険薬局の展開にも使えるアイデアをいただきました。中野先生はじめスタッフの皆さん、ありがとうございました。