[2009.03.02-03 見学] 鶴岡 浩樹氏 感想文

ナカノ在宅クリニックを見学して

つるかめ診療所 鶴岡浩樹

200932日から2日間、クリニックを見学させていただき、ありがとうございました。私は栃木県で在宅療養支援診療所を始めたばかりの開業医ですが、ITを駆使した在宅医療システムを勉強したいと思っていたので、この日をとても楽しみにしていました。

 私が訪れたのは、あのエキサイティングな日本在宅医学会鹿児島大会の翌日。しかし先生は余韻にひたることなく「僕はね、もう次のステップを歩んでいるんだ」と淡々とされておられました。

 診療はとても勉強になりました。型破りなコミュニケーション技法。なんと説明してよいかわかりませんが、相手の心をしっかり捉えていたことだけは確かです。フラワーセラピーでハグ!おばあちゃまは女子高生のようにキャアキャア喜び、先生も一緒に喜び、「ナカノ人間力」で皆が元気になります。医学部で教えるコミュニケーション・スキルはいったい何なのだろうと考えさせられました。

電子カルテ・メール・インターネット・携帯電話を駆使したこのシステムは、医師を診療だけに集中させ、これが診療の質の向上にもつながっていると実感しました。訪問中の看護師さんやドライバーの方々のさりげないサポート、診療所で先生からのメールや電話連絡を受けて対応する事務の方々、多くのスタッフの力が結集しまるで生き物のように連動しているように見えました。

中野先生は「同時進行」の達人で、診療と電子カルテの入力、電話、メール、私のお相手等がすべて同時進行で進んで行きます。車内、ラーメン屋でもちょっとしたスペースがあればもうパソコンです。とてもマネできないと思い「先生みたいに同時に複数の作業はできませんよ」と告白すると、「だいじょうぶ。人間は変われる!チェインジです、です。」とにかく勇気づけられました。

私の妻(鶴岡優子:自治医大地域医療学)は研究と称してヒトの診療所にお邪魔しては往診鞄の中味を見るという悪い趣味を持っていて、1年前に中野先生にお世話になりました。私はヒトの本棚が気になるという悪い趣味があります。中野先生は年間300冊も読書されるというのでクリニックの本棚を眺めると、様々なジャンルの本がズラリと並び、まさに「知」がこぼれおちそうでした。

 余談ですが中野先生のマネをして鹿児島空港に向うバス車内でこの感想文を書き始めましたが、途中で気持ち悪くなり中断。私にはまだまだ修行が足りないようです。一旦栃木に帰ると診療と生活に追われ、感想文をお送りするのが遅くなってしまいました。

 最後に中野先生をはじめ、遠矢先生、矢野先生、竹内さん、神崎さん、泊さん、松下さん、佐藤さん、有馬さん、大変お世話になり本当にありがとうございました。