2009.02.02  見学】 滝川 友佳子 氏  感想文 

中野一司先生(ナカノ在宅医療クリニック 院長)訪問診療同行 感想文

見学日:200922日(月)
同行者:原田ひろみ(メディカルレビュー社)・滝川

 私は、現場で働いている人間ではありませので、私の情報源といったら、仕事を通してお世話になった現場で活躍されている先生方にお話をお伺いするか、学会や研究会に参加するか、雑誌を読むかでした。
 そんな私が、仕事を通して中野先生にお世話になり、また訪問診療を見学させて頂く機会を頂きました。こんなチャンスはめったにありません。お話を頂いたときからすごく楽しみにしていました。
 まず、中野先生からナカノ在宅医療クリニックで導入しているシステムについてお話頂きました。中野先生は、学会や研究会、雑誌などで、よくお見かけします。先生が管理されているメーリングリストの意見交換も大変活発で、24時間という決められた時間の中でどうやってやりくりをしているのだろう、と思っておりました。
 先生からお話を聞けば、感想は「なるほど」です。確かに、診療も可能ですし、学会や研究会の座長や演者として参加の可能かと思いました。メールのチェックも可能であると分かりました。理由は、合理的や無駄がないという言葉で表現できるでしょうか。ITをうまく利用してそれを実現されていました。良く話は聞きますが、「有効に活用する」ということは、まさに、このことなのだと思いました。
 
さて、その後スタッフミーティングに参加しましたが、そこでも驚きです。看護師の方々が皆さんパソコンを広げてミーティングをしていました。会社であれば、パソコンを広げて会議をするなど、良く見られる光景ですが、まさか訪問看護ステーションでその姿を見るとは思いませんでした。情報共有の手段として、PC(メール)を用いていました。インターネットは、時間と空間を飛び越える、という表現を中野先生がされましたが、まさにその通りだと思いました。事前にメールで報告をし合っているので、顔を合わせたミーティングの際には一切無駄がありません。朝のミーティングはぴったり30分で終了しました。


 次に、訪問診療の見学をさせて頂きました。どの方も先生や看護師さんを待っていた様子でした。そして、見学者にも慣れているとのことで、先生が「東京から2人見学がきているけど、いいですか?」とご家族の方にお伺いすると「あー、どうぞどうぞ」ととてもオープンな様子でした。先生と看護師さん以外の人が一緒に来ても、とくに問題がないのか、ご家族の方から私たちにお声掛け頂くことも多くありました。他人の家にお邪魔することは、こんなに簡単なものだったか、と驚きました。本来であれば、簡単でないはずですが、先生と看護師さんとの信頼関係があるからこそ、私たちも受け入れてくださいましたし、お話させて頂くこともできたのだと思います。

 先生と看護師さんは世間話をしながら診療をされておりました。アルバムを見ながら心臓の音を聞いたり、血圧を測定しながら世間話をしたり。なんて医療が普通に行われているのだろうと思いました。病院に行けば名前を呼ばれて先生の目の前にすわり、何となくかまえた気持ちで先生に状況をお伝えして診察してもらいます。在宅医療は本当に医療が生活の中で何気なく存在し、自然に行われていることに驚きました。話には聞いていましたが、あまりにも自然すぎて、診療であることを忘れてしまいそうでした。そんな診療だからこそ、ご家族の方もご本人も大きな不安を抱えることなく過ごされているのだと思います。

 この度は、中野先生をはじめ、訪問看護ステーションの皆様、そして見学をさせて頂きました患者さま、ご家族の方に感謝いたします。

 私にとって大変貴重な機会でした。ありがとうございました。

 2009310

滝川友佳子