2008.08.18-22 研修】 平川 英司 氏 感想文


ナカノ在宅医療クリニックでの研修を終えて

                                    鹿児島市立病院 初期研修医2年目  平川 英司

8月18日から22日まで5日間ナカノ在宅医療クリニックで研修をさせていただきありがとうございました。患者さん、家族を含め関係者の方々に感謝いたします。

この一週間での感想を書こうかと思いますが、正直期待以上に充実した内容だったので書きたいことは山ほどあります。ほどほどに書きたいと思います。

まず、ナカノ在宅医療クリニックで研修を希望した理由ですが、もちろん現在の期間が地域医療という枠であった訳ですが現在勤務している病院は急性期病院であり、急性期の患者さんは数多く見ることができます。しかし、慢性期の患者さんを見ることが少ないということ、慢性の経過になった患者さんを後方の支援病院、リハビリ病院に転院の話をする際、患者家族に在宅はどうでしょうか?と言われたことがあってその時になんとも答えられず、また実際の現場を見たことすらなかったためにぜひ一度在宅医療というものがどのようなものか自分の目で見たかったということ、中野先生がゼロから病院を作りシステムを作り上げた手法、経営のノウハウを聞いてみたかったからというのが主な理由でした。

在宅医療の現場へ行けば行くほど在宅医療というものが病気を治す病院、クリニックの医療を自宅に持ってきたものではなく、病気を予防し死という自然現象を家族含め受容していただき、いかに現在を楽しく、充実した時間にするものであるかということが分かったと思います。何よりも衝撃的だったのが患者、家族の理解があれば、「なにもしない」ということが選択枝に入り、多くの方がそれを望んでいるということでした。病院にいると殺風景などこにでもありそうな診察室で患者さんを診て薬を処方しますが、患者さんの自宅に行くとそれぞれの生活レベルや家族背景があり、病気を治療するのではなく、とにかく慣れ親しんだ自分の家にいたい、この家で看取ってほしいと訴えてくるような印象でした。また、在宅でも医療、看護、介護がうまく連携がとれて機能していれば、人工呼吸器を使用していても特に問題なく過ごせるのだなと思いました。医療サイドの密な連携があり、家族と良好な関係が保てて初めてできることでありそれぞれのバックアップ、信頼関係は非常に大切だと思いました。

あと一点まったく予想せず驚いたのは中野先生のEBMに対する考え方でした。先生もおっしゃっていましたが、EBMはすばらしいものであるが、統計のきっちりとした知識がないと、EBMに振り回されるものだと改めて思いました。私は論文などで数値を示されると、それを元に話したり、勉強した気になっていましたが、研究デザインや対象の吟味をしっかりできていないと数字に振り回されるところでした。

いろいろなことを経験させていただき、刺激的な一週間でした。今後の自分の医療に役立てて行ければと思います。お忙しい中研修させていただきありがとうございました