2008.03.14-15 見学】 大河内 泉 氏 感想文


めぐみ在宅クリニックでは、以前より同じ電子カルテ(ダイナミクス)を利用していたこともあり、ナカノ在宅医療クリニックの連携システムを学びたいという希望をもっていました。中野先生の執筆された出版物などを通して学んでまいりましたが、今回念願であった見学を快くお引き受けいただき、2日にわたり、実際の現場を見学させていただきました。

生活を支える医療を理念とし、医師も在宅ケアの一員であるとお話をうかがいました。実際の訪問診療では、白衣を着用しない医師・看護師の訪問に対し、患者さん、ご家族と援助者のフラットな関係性を実感しました。新規の初回訪問では、お茶をご用意してくださったご家族に対し、お礼を伝えてお茶をいただいた後、定期的な訪問診療について丁寧にお話しながら、「これからの訪問の時は、お茶は結構ですから。今日だけね。それと、盆暮れのつけとどけもね、結構ですからね、気を遣わないように。何かあったら、困ったときは、私がすぐ走ってくるからさ、気楽にね。」と声をかけられている中野医師のお姿と、ご家族の安心した笑顔、「フラットな関係」を理念としているクリニックの診療を実感した瞬間でした。

ITを駆使した連携システムとして感じたことは、訪問中に実際に医師がPCに向かう時間は極めて少ない最低限の入力作業などであること、移動時間に医師・看護師がそれぞれ必要な情報を入力して後は事務方が。

詳細な連携システムを具体的に見せていただき何より感激したことは、とても見事なスマートな仕事振りであることでした。

連携システムがただ単にITを駆使しているのではなく、コミュニケーションとしての情報共有が当たり前のように行われ、その仕事ぶりがスマートであるために、患者さんにとっても、ITを駆使していることを想像もさせないような訪問の現場でした。何よりも訪問時にどの訪問先でも屈託のない患者さん・ご家族の笑顔。良質な連携システムの構築がチーム医療を実現させていることを肌で感じることができました。

また、クリニックの経営や人材育成に対し、医療産業は人に投資しないといけない。

ここにいて楽しいと思える職場、学ぶことのできる職場の提供がモチベーションをあげていくというお話をうかがいました。

実際にフォトセラピーを実施しているとお聞きしていましたが、訪問時に誕生日を迎えた方にお花を贈り、写真を撮っている様子や、めずらしくスーツで訪問した先生とご家族が嬉しそうに写真をとっている姿。

看護師さんも、診察やいろいろな準備の忙しい訪問時間の中で、心温まる配慮が随所に感じられました。

中野医師がおっしゃっていた、素晴らしい訪問看護ステーション、訪問看護の実際に同行させていただく機会は今回残念ながら時間がありませんでしたが、患者さんへの援助や技術だけでなく、ITを活用して情報を共有するスーパー看護師さん、そしてあたたかい、あたたかい思い、感動的でした。

離島医療に関するシンポジウムにも思いもかけず参加させていただき、より大きな意味でIT連携の必要性や、人材育成の課題を考えさせられました。

人材育成を理念として研修の受け入れを快くお引き受けいただき、実現した今回の研修でしたが、本当に忙しい日常の仕事の中で、先生はじめスタッフの方々が丁寧に時間を割いていろいろなことを教えて下さいました。夜は親睦会の席を設けていただき、翌日は昼食も皆様とご一緒させていただきました。

個人的にも初めての鹿児島でしたが、鹿児島が好きになりました。

本当に身に余る丁寧な対応と貴重な時間を与えていただきましたことにあらためてお礼申し上げます。