2006.08.22見学】 市橋 享子 氏 感想文

 

ナカノ在宅医療クリニック実習レポート

鹿児島大学4年 市橋享子

 今回、中野先生が大学で私たちの講義をされたことがきっかけで、ぜひ在宅医療というものがどういうもので、患者様のあいだにどういったニーズがあるのかを知りたく、実習をさせていただくことになりました。

 今回の実習で一番感じたことは、医療というものは、要望があって初めて成り立つということでした。当たり前のことだと今まで思っていましたが、普通の病院で行われている医療には、患者さんの本当の要望や気持ちは入っていないのかもしれません。今回の実習で見せていただいた在宅医療というものは、オーダーメイドの医療だと思います。というのは、たとえば普通の病院では、この病気を治すためには、この検査をして、この治療をして・・・と個人の考えにかかわらず大体同じような医療が行われると思うのですが、在宅医療をうけられている方々は、「私はこう考えているので、こういう治療をしてください。」というように自分が受ける医療は自分で決めるという思いが、根底にあるように感じたからです。患者さんの要望があって初めて、医療が提供される。当たり前なようで実はなかった医療形態が在宅医療なのではないかと思いました。

 また、以上のような医療形態があって初めてできる医療があるということも感じました。患者さんの要望が分かっているからこそ、治療しないという選択も存在してくるのかもしれませんし、その方の生活環境、家族の思いを直接聞くことができるからこそ、多様な選択肢が生まれてくるのだと思いました。行っている医療行為としては、病院で入院するのと同じことかもしれませんが、それが患者さんやご家族の方、介護されている方に与える意味は大きく違うのだと思います。

 中野先生ともお話させていただいたのですが、今回の実習で見せていただいたことは、今だから感じられることがたくさんありました。もし医者になってから見せていただいていたら、気づけなかったことがきっとたくさんあったと思います。とても貴重な体験でした。最後になりましたが、見学を快く承諾してくださった中野先生をはじめ、丁寧にご指導くださった遠矢先生、鶴園先生、看護士の泊さん、ナカノ在宅医療クリニックの皆様本当にありがとうございました。また突然お邪魔したにもかかわらず、診療の様子を見せてくださった患者様、ご家族の方にも大変感謝しております。ありがとうございました。