2006.08.07見学】 田中 裕子氏 研修報告

8月7日在宅医療研修感想文

 今回、在宅医療の現場を見学させていただき、中野先生が授業でおっしゃられていたことを実感を伴い改めて理解することが出来ました。

 まず、先生が、「これからは在宅医療のニーズが増えてくる」と言われていたことについてですが、今回、私が訪問させていただいた家は、多くの患者さんが寝たきりの状態であり、特にご高齢のご夫婦のケースなどは、他の人の助けなしでは通院が難しく、24時間いつでも対応してもらえる在宅医療に頼るところが非常に大きいことを学びました。今後、高齢化が益々進んでいく中、また、医療政策として社会的入院を減らす方向にある中、「通院できない患者さんにとって」、またそうでなくても、「緊急時には、自分の健康状況を把握している医師、看護士が24時間、いつでも駆けつけてもらえる」ということは、どんなにか患者さんの健康面に関する不安を解消するのに大きく貢献するだろうかと思いました。

 私が、前もってイメージしていた在宅医療とは、高齢者を対象とするものでしたが、今回訪問させていただいた中には、事故による20歳台の患者さん、ALSや肺気腫の40歳台の患者さんなど若い方もいらっしゃいました。先生からは脳性麻痺などの小児患者も多いことを聞き、在宅医療の対象が広いことを学びました。同時に、在宅医療を担う医師には、心療内科、リハビリ、整形など幅広い知識を要求されることも学びました。

 研修は、朝のカンファレンスから参加させてもらいましたが、医師、看護士の方が皆、活発に意見を交換されているのを見て、そして全員がコンピューターで患者さんの情報を共有されているのを拝見し、チーム医療が上手く機能しており、ITが非常に有効に活用されていることも、よく理解することが出来ました。

 今回の研修で、非常に印象に残ったのが、ナカノクリニックの在宅医療では一軒、一軒の家を周られる中、十分な時間をとって患者さん、および家族の話に耳を傾け、患者さんの状態をチェックされていることでした。患者さんの家にあがると、その人の置かれている生活環境、介護される方の苦労、心配ごとなどもよく分かりました。十分な時間があること、病院ではなく自宅という環境のせいか、介護にあたる人も医師や看護士によく相談や質問をされ、積極的に介護、医療に取り組まれている姿勢がうかがわれました。これも在宅医療の大きなメリットだと思いました。

 一日という限られた研修の時間内では、在宅医療のほんの一部を垣間見させていただいたことになるのでしょうが、実際に現場を見せていただき、在宅医療が地域においていかなる役割を担い、如何に機能しているかを見せていただけたことは在宅医療を理解する上で非常に貴重な研修であったと思います。私は、以前から、在宅医療に興味がありましたが、今回の研修で、患者さんおよびその家族と、医療にあたる医師や看護士の医療を超えた結びつきを見て、在宅医療に対する興味がより深まりました。

 このような貴重な研修の場を与えて下さった中野先生をはじめ、医師、看護士、事務の方、また快く私を家に上げてくださった患者さん、および家族の方々に感謝致します。有難うございました。