2005.12.07見学】 豊島 元氏 研修報告

 「ナカノ在宅医療クリニック見学を終えて」

 12月の開業を目前にして、在宅医療を専門にされている中野先生のクリニックを見学させてもらうことができました。電子カルテ「ダイナミクス」研究会で中野先生を紹介いただき、直接メールをしたところ、すぐにクリニック見学に誘っていただきました。

 当日は朝8時過ぎにクリニックを訪ねました。中野先生にあいさつしていると、早速昨夜具合が悪くなった患者さんについての連絡が入り、その患者さんの受診の手配が始まりました。8時半からは全スタッフが集まってのカンファレンス。毎朝、医師、看護スタッフ、事務スタッフが全員集まって、具体的な患者さんについての情報交換などが行われていました。このカンファレンスの後は、それぞれのスタッフが患者さんのお宅を訪問したりして、顔を合わせることができないこともあるようで、朝のカンファレンスで細かい情報やスタッフ間の意見統一をしながら仕事を進めておられるのが、ナカノ在宅医療クリニックが一つのチームとして医療をしている姿として印象に残りました。

 カンファレンスの後、中野先生、看護師の泊さんと一緒に患者さん宅を廻らせてもらいました。当日は中野先生が運転をされていましたが、通常は別にドライバーがおり、医者、看護師は車のなかでもカルテチェック、記録ができるとのことでした。午前中で、寝たきりの患者さんとその家族へのインフルエンザの予防注射、前日転倒した女性の診察、病院での退院前カンファレンスへ出席し退院後の計画、足指の腫れ・痛みのある患者さんの診察などを次々に済ましていっていました。顔なじみの患者さんには、問題点を手際よくチェック、治療計画をたてていきます。新しい患者さんの退院前カンファレンスではご本人、ご家族への説明を含めて時間をかけて説明することで在宅療養での不安を減らすことになるのだと思いました。

 この日はお昼ごろには、予定外の患者さん宅の訪問も含めて診療を終えクリニックに戻りましたが、ダイナミクスを上手に使いながらの診察、そして診察の合間にもインターネットを使っての情報交換を行い、時間管理が非常にうまく行われているところは参考になりました。また、ナカノ在宅医療クリニックの中で働いておられる人たちが、非常に和やかに、そして機能的にそれぞれの役割を果たせるシステムができているのも、開業直前の私には勉強になりました。全ての人と話したわけではありませんが、スタッフ間の繋がりが水平面で拡がっており、中野先生ができるだけ多くのスタッフから意見を引き出そうとしながら仕事をすすめておられるのが印象的でした。

 半日足らずの見学でしたが、私も在宅診療を自分の仕事の主要な部分にしようと考えていますので、6年以上にわたって鹿児島で在宅医療のシステムを根付かせる努力を続けておられる中野先生をはじめとするナカノ在宅医療クリニックのスタッフのお仕事を見せていただくことができ、勇気を少し分けていただくことができた気がしてうれしい一日でした。