離島医療実習感想
平成21年度クリニカルクラークシップ
中矢 真理
身近な人で在宅医療・在宅看護などを利用している人がいないこともあり、私は在宅医療について間違った認識をしていたと思います。私は訪問看護ステーションなどが鹿児島だけでもいくつも存在すること、多くの病気の患者さんたちが在宅ですごしていることを知りませんでした。また利用者の年齢層も幅広く、疾患も認知症・脳梗塞の後遺症はもちろん末期癌や神経難病などと様々であることに驚きました。在宅医療では医師・看護士としての経験が深く幅広く必要とされると感じましたが、それ以上にキュアよりケアが重要であるということを学びました。患者さんに対し固定の担当性ではなく複数の医師・看護師が就くシステムは、患者さんについてお互いに話し合うことができるし、緊急時に対応しやすいという利点があります。普段からお互い忌憚なくディスカッションをしているということで、患者さんのための医療はこうあるべきだと思いました。
訪問診療では訪問先での時間の無駄を省くためにカルテのテンプレートが準備されているなど、コンピューターを活用したシステムがあり、また仕事をうまく分業して医師・看護師・事務それぞれの協力の下、効率の良い診療の実態を見学しました。訪問時、病院や施設で過ごされている方々と比べて患者さんの表情が明るいなと感じました。今まで自分の家族や自分自身が末期癌を宣告されたとしたらきっと病院ではなく家で過ごしたいだろうなとただ漠然と考えていましたが、それを実感することが出来たと思います。また診察だけでなく患者さんや介護者である家族のために肉体的・精神的負担が少しでも減るようにと色々考え提案するなど、「治す」医療だけではなく患者さんや家族の「生活を支える」医療を学ぶことができたと思います。
訪問看護同行では看護士さんの仕事の幅広さにも驚きましたが、中でも印象深かったのが摘便でした。看護師さんが明るく手際よく処置を行う姿を見て、プロとしてのあり方を学びました。また老々介護実際をみることで現状を知ることもでき、大変有意義な体験をすることができたと思います。
最後に実習を受け入れてくださった患者様、お世話になりました先生をはじめ、看護師さん、事務の方々に心からお礼申し上げます。本当に貴重な体験をすることができました。お忙しい中丁寧にご指導頂き本当にありがとうございました。